― 初めての作曲はお誕生会がテーマ
ヤマハ音楽教室に通い始めたのは、5才ぐらいのとき。「通っていた幼稚園の2階に教室があって。当時は、足踏みオルガンの時代でした」。
自宅では、最初は紙の鍵盤で練習していましたが、小学生になって上級のコースに進んだこともあり、ピアノが欲しくて、「父親が酔っているすきに、おねだりをして、茶色いピアノを買ってもらいました。そのピアノは今でも実家にあります」。
覚えているのは、小学校1年生のときに宿題で、お誕生会がテーマの『さよなら』という曲を作ったこと。合奏することになり、CHARAさんはピアノ担当で、歌担当のお友達もいたので歌詞も付けたそう。「お誕生会が始まってみんな集まってきたけど、『さよなら』っていう、短調、長調、短調という3部形式の歌でした」。
自分の作った曲が人の手によって演奏される喜びを感じたのは、「何となく覚えていて、今の自分の原点のひとつかも」。
― 娘を音楽の道に進ませたかった?
そのころの記憶で印象的なのは、「お嫁に行くときにグランドピアノを買ってね」と、お母様におねだりをしていたこと。「当時、小坂明子さんの『あなた』という曲が流行っていて、その影響でした」。
その後、CHARAさんが結婚するときに「グランドピアノはどうする?」と聞かれ、本当に買うつもりだったと知って驚いたとか。歌が大好きで、バスガイドになりたかったというお母様。「母は音楽の教育を受けたこともなく、普通の専業主婦だったので、音楽に対して、母自身に憧れがあったのかも」。
音楽教室で作曲の宿題がでたときも、CHARAさんが雑に書いた楽譜が、翌朝になると、きれいに書き直してあったり。「あれ?何これ?っていうのはちょいちょいありました」
音大系列の中学を受験させたかったそうで、受験のために、小学校5年生ぐらいのときに個人レッスンに変更。「でも、私にその気がなくて、結局受験はしませんでした」。

― 中学時代はピアノからシンセサイザーに
中学へ行くと、ピアノを続けながらも、「ポップスやソウル、そしてロックとかに目覚めちゃった」と語るCHARAさん。「今のように、インターネットもないしもちろんYoutubeもない。ラジオで音楽を聴き、学校帰りにレコード屋さんに寄るうちに、自然と好きな音楽が決まっていきました」。
高校生になると、地元の仲間とバンドを組み、アルバイトをしてシンセサイザーを購入。曲作りよりも録音や機材のほうに興味があり、録音用の機械を使って録音の実験をしたり、今でいう「宅録女子」だったとか。「作曲は趣味でしていましたが、自分が歌うというのは考えてなくて。ステージで演奏のサポートをしたり、ライブを作る仕事につきたいと思っていました」。
― 歌より踊りでボーカルデビュー!
そして、高校2年生ぐらいから、本格的にライブハウスでバンド演奏をするようになります。「元々踊ったり、振り付けしたりするのが好き」だったそうで、ローラースケートをはいて踊りながら、というウェイトレスのアルバイトもしていました。
ある時、バンドコンテストのショーで踊っていると「キーボードが弾けるなら、うちのバンドに1回来てみないか」と声をかけられてバンドに参加。
そのバンド自体はうまくいきませんでしたが、CHARAさん自身は、音楽事務所の新人発掘部署の人から声がかかります。そして19歳のとき、「デモテープを作ってあげるから、歌ってごらん」とのお誘いが。「失恋したてで思い切ったことをしたかった」というCHARAさんは、デモテープを作成し、ライブで歌うようになります。「でも、歌はまだまだというか、全然歌えてなくて、そんなときはステージで、全身で踊ってごまかしていました」。
歌手デビューが決まるかどうかのオーディション代わりのライブでも、「前列にノリノリのおじさんがいたので、その人の前で、ガンガン踊っていたら、実はその人が一番偉い人で、『歌はまだまだだけど、踊りがいいからやれ』とGOサインを出してくれた」という逸話も。

― 音楽は、いろいろな関わり方で楽しめるもの
その後、デビューを果たし、現在まで第一線で活躍を続けるCHARA さんは2児の母でもあります。息子さんとは、よくセッションをするそうで、「『自由に弾いていいよ。ママが合わせるから』とか言ってます」。
息子さんは、基本的にはドラムとベースが好きで、気が向くと鍵盤楽器を弾いたりも。「息子は、私よりも自由人。小さいころにピアノを習ったときも、楽譜を持っていかないんです。先生の上手な演奏を聴きたい派。それで耳コピして、譜面なしで演奏したり」。
小さいころは熱が出た後や、学校で何かあったとき、成長してからは恋をしているときなど、感情が揺れたときに、息子さんはピアノに向かうそう。「自己表現としての音楽ですよね。そういうのを見ていると、彼は音楽の作り手側なのかな、と思ったりもします」。
― 子育ては、その子のよさを見極めてあげて
「音楽って、すごい力を持っていると思うんです。ミュージック、メディック、マジックって、言ったりするように、音楽は魔法のように、薬よりも力がある」というCHARAさん。
たとえば、声を出すこと、つまり自分の「楽器を鳴らす」ということは、子どもからおばあちゃんまでできること。「そう考えると、音楽って一生楽しめますよね」。
音楽は、作り手だけでなく、受け取り手もいれば、広める側もいて、人によって、いろいろな関わり方ができます。「演奏が得意な子もいれば譜面を書くのが得意な子もいる。どれも一つの才能。ママたちは、我が子の得意な分野を伸ばしてあげられるといいのかなと思います。あとは、先生も親もほめてあげること。大人だってほめられたらうれしい。どんどんほめてあげてほしいですね」。

プロフィール
シンガーソングライター。1991年デビュー。翌年、セカンドアルバム、『soul kiss』で日本レコード大賞ポップ・ロック部門のアルバム・ニューアーティスト賞を受賞。女優として出演した岩井俊二監督作品『スワロウテイル』では、劇中バンド YEN TOWNBAND の「Swallowtail Butterfly ~あいのうた~」が大ヒットを記録。オリジナリティ溢れる楽曲と独特な存在感で、根強い人気を誇る。一貫して「愛」を歌い続け、2016年より25周年イヤーに突入。ますます精力的に活動中。 https://charaweb.net/
Photo:Akira Moriyasu/Text:Hana Hasegawa










