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自分より「すごい」と思える周囲からの影響がずっと刺激に ― H ZETT Mさん

H ZETT Mさん インタビュー

― 音楽に没頭していたヤマハ時代

小さな頃、家にオルガンがあり、遊び感覚で弾いていたら、それを見ていたお母さまが「習ったら?」と近所の教室に入ったのがきっかけで、4歳の時からヤマハ音楽教室へ通うことに。「ピアノを囲んで歌ったりするときに、先生がピアノを弾きながら譜面をパッとめくる姿が、カッコいい! と思ったのを、今でも鮮明に覚えています」。

その後、ジュニア専門コース(以下、専門コース)へ進むため、近所のヤマハから規模の大きい教室に通うことになりました。「自動販売機がいっぱい並んでいて、レッスン後にジュースを選んで飲むのが、楽しみでした」。

レッスンには「淡々と通っていました」というH ZETT Mさん。自宅での練習も、「やりなさい」と言われた記憶もなければ、「嫌だった記憶もない」そう。お母様に怒られた経験といえば、うまく曲が弾けなくて、ピアノを蹴ったときに叱られたことぐらいだそうで「そういうときは、やっぱりできない自分への悔しさというのはありました」。

専門コース時代は、毎晩夕方6時から2時間ぐらい自宅でピアノを弾いていましたが、集中をしていると、「音楽が楽しいとかではなく、ただただ没頭して音楽の中に入っていく感じで。それが心地よかったのかもしれないですね」と語ります。


― 中1で挫折を経験。猛練習してJEFに

専門コースへ進んだこともあり、「結構、自分は弾けるな」と、思ったりすることもあったそうです。レッスンでもどんどん弾けて進んでしまうと、先生が心配をするかなと、あえてあまりじょうずに弾かないほうがいいのかなと考えたこともあったとか。今振り返ると、「技術も考え方も未熟で、全然分かっていなかった(笑)」とも。

そんなふうに演奏には自信があったH ZETT Mさんですが、中学生のときに、大きな挫折感を味わいます。

中学1年生で出場したジュニアエレクトーンフェスティバル(JEF)に、「自分は結構弾ける」と意気揚々と臨んだところ、出場者のレベルが高すぎ、「本番は弾きたくないな」というぐらい圧倒されたそうです。

それ以来、猛練習をして、中学2年生のときに、同じJEFで、全国大会に出場。出場するだけでもすごいことですが、本番はあまりの緊張のために、演奏を間違えてしまい、再び挫折感を味わうことに。

しかし、この挫折が原因で、もうヤマハなんかやめてやる!とはならなかったのは、「曲を作ったり、練習したり、弾いたりするのはやっぱり楽しい」という気持ちが持続したからだといいます。


― 160人中男子2人の音楽高校生活

中学卒業後は、「普通の高校に行く気が全然しなかった」ため、音大の付属高校に進学。

理由は中学時代に「その高校が主催している中学生を対象にした夏期講習や冬期講習に参加して、音楽に囲まれている感じがいいなと思った」のと、中学の同級生と一緒に普通の高校に進学して「イエイ!」みたいな感じは嫌だったからとか。「ちょっと普通の流れに反発するみたいな、反骨精神が小さいころからあったので」。

希望通り入学したものの、当初、「嫌で嫌で仕方がなかった」そうです。その理由は、学年160人のうち、男子が2人だったから。ほぼ女子高のような状態で、男子は存在しないかのような扱いだったとか。

そんなとき、男子の先輩から声をかけられ、一緒にバンドを組むことに。小中高と、レッスンや高校の授業では、ほぼクラシックの曲に触れてきましたが、自宅でリラックスするときはジャズやロックなどを、片っ端から聴いていたため「クラシック以外の音楽にも抵抗がなかったのです」と語ります。「ピアノを習っていると、ジャズピアノがわりと身近な感じで、和音を押さえる指を増やすだけでジャズっぽくなるのもあり、何となくその魅力に引かれていったんです」。

大学は作曲科へ進学し、大学在学中に知り合ったメンバーとバンドを組み、トントン拍子にデビューが決まりました。「ラッキーだったというのもありますが、自分達のような音楽をやっている人は他にいないという自信とやる気はありました」と、H ZETT Mさん。


― つらいことと楽しいことは一緒

現在も、作曲と演奏の2つをこなすH ZETT Mさん。曲を作るのは幼児科時代から好きだったそうで、「最初は五線譜に適当に丸を書くだけだったのが、だんだんと曲らしくなり、その出来た物を見ると喜びがあって、その喜びを感じたいという繰り返しで曲を作り続けてきました」といいます。

今、曲を作るときは、ピアノに向かって弾きながら作るだけでなく、雑誌をパラパラ見たりしているときや写真や映画を見たりしたときに浮かんだ曲のイメージを「何となくぼんやりと譜面に書く」こともあるとか。そういった創作活動をする上では、「日常生活でも、頭を柔らかくして、物事をいろんな角度から見られるように心がけています」とも語ります。

好きな音楽がそのまま仕事になり、「楽しくもあり、つらくもあり」というH ZETT Mさん。

今の技術に向き合うと、「まだまだ。上には上がいる」と痛感するそうですが、「自分の未来は、もっとうまくなる、ということをイメージすると、楽しくもなります」とも。


― ヤマハは周りから、いい影響が受けられる

ヤマハ時代を振り返ると、「すごく良かったなと思うのは、同年代の子が作ったレベルの高い作品に毎年触れることができていたこと。自分と同じ年齢でこんなすごい曲を作る人がいるんだ」と刺激になったそう。

幼児科のママたちには、「本人が練習に没頭できるような環境をつくってあげるといいと思います、あとは本人が周りを見て影響を受けるようにもっていくこと。きっと簡単にレベルアップできると思います」とアドバイスを。さらに、「本人の自主性を伸ばすように、うまく乗せて、その気にさせるのも大事だと思います」とも。

プロフィール

エンターテイナー、音楽家、ピアニスト。無重力奏法と呼ばれる高度な演奏スタイルで、国の内外を問わず高い評価を得ている。PE’Zのキーボーディスト「ヒイズミマサユ機」、はたまた椎名林檎率いる東京事変、第一期の鍵盤「H是都M」と同一人物なのではないかという憶測が飛び交うも、本人はぼんやりと否定中。並行して活動中のトリオ編成によるバンド"HZETTRIO"では、ソロ活動とは一味違う世界観を示し、こちらも多方面から好評を得ている。 https://worldapart.co.jp/hzettm/

Photo:Akira Moriyasu/Text:Hana Hasegawa