― 親のすすめで小3までヤマハ音楽教室へ
「音楽はやっておいたほうがいい」というご両親のすすめで、ヤマハ音楽教室の幼児科に通いだしたという伊沢さん。「アンサンブルをしたり発表会に出たり。教室が駅のそばで、窓から列車が見えたり。楽しかった記憶しかないですね」。
そのまま小学校3年生までヤマハを続けますが、「あまり練習熱心ではない生徒だったと思います。小学校に上がってからは、さすがに練習していかないと、先生にも厳しいことを言われたりしていました」。
ほかにもサッカーや硬筆などの習い事にも通っていましたが、小学4年生になって、中学受験のための塾に本格的に通うことになり、徐々にほかの習い事を減らしていったそう。
その頃は、ちょうど個人のレッスンも始まったところで、「正直やめたくない、もうちょっとやりたいな、と。当時は、和音や移調にも興味があったし、ff(フォルティシモ)って恰好いいなとかって思っていました」。
何曲か弾ける曲はありましたが、「バダジェフスカの『乙女の祈り』とか、ああいう曲が弾けるようになりたい、とも思っていました」とのこと。

― 中学校でクイズに目覚める
小学校卒業後は、受験をして、東京の中高一貫の開成学園に入学。クイズ研究部に入部します。「クイズとの出会いは、本当に偶然です。部活の体験会で、空いた時間にのぞいたのがクイズ研究部で。当時は弱小でした」。
本命の部活はフットサル部でしたが、中学生が伊沢さん以外いなく、体力的な差が大きくてすぐにいかなくなったそう。「でもクイズ研究部は、中1でも、10回に1度くらいは早押しで先輩たちに勝てたり、知識が身についてくれば、それなりに先輩たちとも戦えるようになってくるんです」。
やればやっただけ結果が出る。「こんな楽しいものはない」、とどんどんクイズにのめりこんでいきます。「授業中も隠れてクイズの勉強をして、部活でクイズをして、帰宅してもクイズをして、毎日寝るのは3時とか4時とか」。
ちなみに今でも、『クイズノック』の仲間とは「今日押す?」と連絡を取り、各々の業務終了後の夜に集まって、職場で早押しの練習をするそうです。

― 大学在学中に音楽に夢中に
高校卒業後は、東京大学経済学部へ進学。「中3のときに、音楽の授業がきっかけでギターを始めたんですが、しっかりやりたいなと思って、大学でギターのサークルに入ったんです。大学の講義そっちのけで、毎日6~7時間練習していたんですが、もっとコードについて深く知りたい、と思ったのがきっかけで、再びピアノを弾きだしました」。
大学時代は、ピアノの担当でサークルの仲間とライブをやったりもしていたそう。
卒業後、多少のブランクはありながらも、今でもピアノは続けているといいます。「1日10分でも練習するようにしています。先日は、大学時代の友人の結婚式で、みんなで『いとしのエリー』を演奏して、ピアノを担当しました」。
もちろん大学に入ってからもクイズは続けており、大学3年生くらいからは、テレビにも出演し始めます。「大学院を出て研究者になりたかったのですが、周囲がすごすぎて。これはかなわないな、と。そこで自分はこの先、どうしようと思ったときに『クイズがあるじゃないか!』と気づいて」。
その後の活躍は、みなさんの知るところですが、「小さいときに、音楽の知識が身についていたことは、クイズを考える際にも役立っています」とのこと。
伊沢さん自身は自分のペースで音楽を続けているとのことですが、「やはり小さいときから基礎的なことを学んでいたからこそ、大学で弾こうと思ったときにすっと弾けたのだと思います。そこは親にも感謝です」とも。
保護者の方には「音楽との向き合い方は人それぞれ。ぜひ、お子さんのペースを大切に音楽と触れ合ってもらえたら、きっとお子さんにとっても、将来返ってくるものは大きいのではないかと思います」。

プロフィール
1994年生まれ。クイズプレーヤー、YouTuber。クイズを題材としたウェブメディア『QuizKnock』を運営している株式会社QuizKnockの代表も務めている。高校1年、2年と2年連続で『全国高等学校クイズ選手権』に出場し、2連覇を果たす。現在は、クイズをベースに、多くの人に学ぶことの楽しさを提供したいと、様々なメディアを通じて幅広く活動中。
Photo:Akira Moriyasu/Text:Hana Hasegawa










