― 音楽が身近だった幼少時代
「父がミュージシャンで、ドラムを教えているんです」というやまもとさん。ヤマハには、3歳から通い、幼児科修了後はジュニア専門コースに。小6からピアノの個人レッスンも始め、中学3年生まで通っていました。「父は発表会などドラムでサポートに入ることもあり、親子共演ではないですが、同じステージに立ったこともあります」と話します。
ヤマハに通ったきっかけは、「当時、お風呂のフタをピアノに見立てて弾く真似をしていたみたいで。親に『ピアノをやりたいの?』と聞かれて『やりたい!』と即答したみたいです」とのこと。
母方の祖母もピアノの先生をしており、やまもとさんにとって生まれたときから音楽は身近な存在。家や移動の車の中ではV6や宇多田ヒカルさんの曲が流れていたり、お父様が出演するライブを見に行ったり。「小さい頃から生演奏に触れる機会が多く、いろいろな楽器に興味がありました」。

― 負けず嫌いの努力家で人前での演奏が大好き
やまもとさんは、他の生徒さんと比べて手が小さくて、指が鍵盤に届かないこともあったそう。「割と負けず嫌いの性格なので、悔しくて頑張って練習したり、毎日お風呂で指を広げていた」とか。「弟もヤマハに通っていて、たまに弟のクラスを見に行くと、先生が『今日はお姉ちゃんが来てるから一曲弾いてもらいましょう。頑張ったらこうなれるよ』と、レッスン終わりにみんなの前で弾かせてもらったのも嬉しかったです」。
人前に出て弾くのも好きで、「発表会やコンクールがモチベーションでした。今も本番で緊張をしないのは、ヤマハでの経験があったからだと思います」と振り返ります。
― ガールズバンドに憧れベースを始める
幼稚園の卒園アルバムに書いた将来の夢は「ロックバンドのベースかドラム」だったというやまもとさん。ある日お父様とガールズバンドを観に行った時、「鍵盤以外の楽器もかっこいい」と思ったそう。「じつは、幼稚園のときサンタさんにベースをお願いし、子ども用ベースをちょっと触ったものの、すぐ指が痛くなってやめてしまったんです」。
しかし、中学に入りガールズバンドのSCANDALが大好きになり、中学2年生の時にベースを始め、すぐにSCANDALのコピーバンドを組みコンテストにも出場するように。
― 鍵盤の知識や技術がベース演奏に役立つ
ヤマハで小さい時から触れてきた鍵盤楽器ですが、ピアノは当時テレビに出ていた天才キッズと呼ばれる人たちを見て、「上には上がいる。そこに私が食い込むのは無理と思いました」と語るやまもとさん。でも、将来音楽の仕事に就くためには、絶対ピアノは役立つだろうと、小学校6年生のときにクラシックからポピュラーピアノに転向します。
それもあって、ベースを弾き始めたときには、指板※1を鍵盤に見立てるとすごく分かりやすく、しかも単音なのでピアノよりも簡単に感じ、すぐに弾けるようになったそう。
また、ピアノやエレクトーンを習っていたため、シンセベース※2もすぐに慣れることができ、仕事をするようになってからは「シンベもできるの?と重宝されますが、エレクトーン歴が長い分シンベのほうが全然ラク」とのこと。
※1 弦楽器において、ネックの表面に貼られた薄く長い木片でフレットが打ち込まれている部分のこと。
※2 キーボード・シンセサイザーの一種であり、シンセサイザーで演奏されるベースパート。

― 動画投稿がきっかけで音楽番組に出演
高校に進学後は事務所に所属しながらプロを目指していましたが、18歳の時にバンドが解散。名刺代わりのつもりで始めたYouTubeの動画がTHE ALFEEの坂崎幸之助さんの目に留まり、坂崎さん司会のCS音楽番組『しおこうじ玉井詩織×坂崎幸之助のお台場フォーク村NEXT』にゲスト出演。
翌月の回にもバックバンドのメンバーとして呼ばれ、本番当日、南こうせつさんがいきなり「この曲にもベースが欲しいなぁ」と。突然のリクエストでしたが、その場で渡された楽譜で初見演奏し、なんとか乗り切ります。
そんな対応力と実力が認められ、この番組でのレギュラー出演が決定。それが縁で、さらに、ももいろクローバーZのバックバンドに参加。その後も氣志團万博、イナズマロックフェスのサポートメンバーなどにも呼ばれてプロの世界に。YOASOBIではバンドマスターもつとめました。
― 自身のバンドを結成「憧れられる存在になりたい」
2023年には自身のバンドAoooを結成。「原点回帰というか、自分に力を付けつつ、やりたかったことに戻ってこれたかなという感じです」。
ベースの魅力については、「低音が出ること。ベースとドラムって音楽の要だと思います。今思うと、ヤマハ時代アンサンブルでもベースパートが一番楽しいと感じていました」と話します。今後については、「私がSCANDAL に憧れたように、Aoooに憧れて音楽を始める人がいたらいいなと思います」とも。
ヤマハの保護者の方へは「私は練習が嫌いで、宿題をやらなかったりして、親には『もうヤマハをやめるよ!』と言われたことも何度もありましたが、続けさせてくれて本当に感謝しています。音楽が好きな気持ちはずっと変わらなかったので、親はそれをわかってくれていたのかもしれません。保護者のみなさんは、子どもに生意気なことを言われても、続けさせてあげてほしいなと思います」。

プロフィール
1999年生まれ。14歳のときにベースを始める。2018年、YouTubeに初めて動画をあげると、それがTHE ALFEEの坂崎幸之助さんの目に留まり、坂崎さん司会の音楽番組にゲスト出演。それがきっかけでプロの世界に。2019年にBASS&VOCALのソロアーティストとして「DOGMA」でデビュー。YOASOBIのサポートメンバーとして2020年紅白歌合戦のステージに立ち、武道館ライブや海外ツアーにも帯同。2021年に「NOISE」「ZERO」、2022年に「ツキカケラ」「ナムネス」をリリース。コロナ開けの2023年より4人組バンド『Aooo』を結成し精力的に活動中。
Photo:Akira Moriyasu/Text:Hana Hasegawa










