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― お子さんには「こんな大人になってほしい」という夢はありますか?
松居 子どもたちを音楽家しようとは思っていません。もちろん本人が「なりたい」と言えば協力しますが、本人次第です。ただどんな形でもいいから、音楽を楽しめる人にはなってもらいたい。
私の母が、自分が好きな映画音楽やジャズを聴くことで私に音楽の楽しさをさりげなく教えてくれたように、子どもたちにも“音楽を楽しむ心”を教えてあげたい。
私自身、子ども時代にその心を持てたことで、自分を表現するための方法を身につけることができました。自分を表現できる自信って、音楽に限らずどんな壁にぶつかった時でも、それを乗り越え、たくましく生き抜く力になってくれると思うんです。
― それはどんな職業についたとしても必ず役立ちますからね。
松居 そしてこれも私自身が音楽を通じて経験してきた“音楽の持つ不思議な力“を子どもたちにも経験してもらいたい。
音楽は元を辿れば神への祈りや感謝を表現する手段として生まれたもの。だから人間同士を結びつける、あるいは国を超えて人々が一体感を感じられるようなエネルギーを持っているんです。
― 松居さんの曲が持つエネルギーに通じますね。
松居 たまたま私は音楽を職業にしたために、そうした素晴らしい経験をすることができましたが、それは音楽を通じて誰にでもできること。例え自分で演奏していなくても、町を歩いているときに流れてきた曲を聴いて「いい音楽だな」と思うのも、音楽の素晴らしさを体験していることなんです。
そんな音楽の楽しみ方ができる人になってもらいたいですね。
― でも、聴くだけでは得られない、実際に音楽をやることで得られるよろこびというのもあるのでは?
松居 そうなんです。それがあるからこそ私が音楽を続けて来られたわけで、もし子どもたちがそれを目指すのであればうれしいし、心から応援します。
でもやっぱりそれは本人次第。私が決めることではありません。
― あくまで側面支援の立場で見守るということですね。
松居 ええ。ただ、もし本人が「やりたい!」と思ったときに、基本があるかないかで進み方は大きく違ってくるのも事実です。
だから私は、本人が嫌がっていないなら、早い時期に基本だけは身につけておいたほうがいいとは思います。
― 基本をおさえておいて、あとは子どもの自主性にまかせる。
松居 それに子どもって、大人が心配するほど苦労を苦労と思わない(笑)。大人なら難しいことでも結構簡単にやってしまったりするんですよね。
音楽も学校の勉強もそうですが、苦手意識をもってしまうとダメなんです。苦手と思う前に好きになってしまうことが上達の第一歩。そうすれば多少の困難も、頑張って乗り越えようとする努力が生まれてくると思うんです。
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