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― お住まいをアメリカから日本に戻したのは、お子さんのためと伺いましたが。
松居 はい。以前から子どもが学校に上がる時期になったら日本に帰って来ようと考えていました。
もちろんアメリカはアメリカでとてもいい国なんですが、自由なぶん危険と隣り合わせという面もあるので。
― 松居さんご自身のアメリカ国内での活動は続けておられるんですよね。アメリカでの音楽活動で日本と違うのはどんな点ですか?
松居 日本の場合は生活が“平均的”なのに対して、アメリカは成功者と敗者の差が激しいんです。それは経済的な問題において顕著に感じられます。
「アメリカン ドリーム」という夢のありそうな言葉が存在しますが、実際には(アメリカは)成功することに重きを置いた大変な競争社会です。
たまにアメリカ国内でチャリティコンサートに出演することがあるのですが、普段は経済的な理由でコンサートに行ったりCDを買ったりできない人たちの前で演奏すると、お客さんの放つ強烈な集中力に圧倒されるんです。
― 音楽を欲する力ですね?
松居 “心が渇いている、何かを探し求めているような…”、会場中の音楽をまるでスポンジのように1滴残らず吸収していくような感じがします。
それを見ていると、「人間が生きていく上で、音楽って重要なんだなぁ」ってあらためて実感します。
― その点、日本は恵まれていますよね。
松居 日本の街なかを歩いていて、楽器を持って歩いている若者を見ないことってないじゃないですか(笑)。
経済的にもそうだけれど、「音楽をやりたい」と言ってすぐにできるって、本当はすごく恵まれたことなんですよね。楽器屋さんに行けば欲しい楽器を買うことができるし、どこの町にも音楽教室があってレッスンを受けることができる。
音楽をとり込んだ生活を送るための環境づくりが整備されているという点でも、やっぱり日本は素晴らしい国だと思います。
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