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― 自分で演奏する喜びを知ったのはいつ頃ですか?
中村 それははっきり覚えています。
小学校に行くようになってからは元気になって、学校から帰ってお友達とも遊ぶようになったんです。
そんな仲良しの子のうちの一人が音楽教室でエレクトーンを習っていて、あるとき私の前で演奏してくれたんです。
その姿がすごくカッコよくて、すっかり憧れちゃった……。
それで父に、「私もエレクトーンを習いたい!」ってお願いして、音楽教室に通うようになりました。
― どんなところが楽しかったのでしょう?
中村 私にとって一番よかったのは、音楽教室が友達との“遊びの延長”という雰囲気だったこと。
決して“お稽古ごと”というイメージはなく、そこに行くこと自体が私にとって楽しいことなんだという意識がありました。
そして、当時の私にとって大きかったのは、音楽教室という“学校以外の世界”に身をおくことができる――という点でした。
学校とは別の友達と一緒にレッスンする楽しさ。
しかも年齢の違う人とも仲良くなれる。そんな“刺激”がうれしかった……。
― 刺激ですか?
中村 先生や先輩の上手な演奏を目の当たりにすると、単純に「私もあんなふうに弾きたい」っていうあこがれを持てるし、それに加えて何よりも、精神的にリフレッシュできることが心地よかった。
学校だけの生活だと、学校の価値観だけに支配されることになるけれど、音楽教室に行くことで、学校とは別の価値観を感じることができる。
それが一種の“刺激”になっていたように思えるんです。
例えて言うなら、空気のよどんだ部屋の窓を開けて新鮮な風が入ってくるような。
子ども心に、そんな爽やかさを感じたのを覚えています。
― 中村さんがエレクトーンを習いたいと言ったときのご両親の反応は?
中村 母は取り立てて賛成も反対もしませんでした。
ただ覚えているのが、父に「どうせすぐに飽きるだろう」って言われたこと。
ところが、この一言が私の心に火をつけた!(笑)。
私の場合、性格がひねくれ者だから、そう言われるとかえってがんばっちゃうんです。
小学校を卒業するときには、将来の夢として「エレクトーンの先生」なんて書いていましたからね(笑)。
でも、今考えると、そんな私の性格を見抜いていた父が、わざとそう言ったのかもしれないんですけれど……。
― レッスンそのものは楽しめました?
中村 それはもう楽しくて仕方なかったですね。
ちょうど私たちが小学校から中学校に上がる頃って、日本中で“いじめ”が社会問題になり始めた時代でした。
私の通っていた学校でも、やはり荒廃した雰囲気が漂った時期もあったのですが、そんな時でも家や音楽教室でエレクトーンを弾いていると嫌なことを忘れて音楽を楽しめる。
音楽には、人の気持ちをまったく別の世界に運んでくれる不思議な力があるんだということを、その頃すでに、なんとなくですが感じていたような気がします。
でも、今考えると、そんな私の性格を見抜いていた父が、わざとそう言ったのかもしれないんですけれど……。
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