

子どもは、生後1年で、歩いたり、最初のことばがでるなど人間として基本的な能力が出来あがります。1歳から2歳までの間は、このような目に見える発達が少ないのですが、実はとても意味のある時期なんです。一人歩きできる、手が使える、ことばをしゃべる。この基本的な人間の能力のめざましい発達がみられる時期だからです。1歳児を英語では「トドラー」と呼びます。よちよち歩きの意味ですが、この名の通り、1歳児は自分の足で歩きながら、行動範囲や生活を広げていく大切な時期といえます。

では、1歳代は具体的にどんなことができるのでしょう。ここでは各項目に沿ってその発達過程を整理してみましょう。

ことばの発達には個人差がありますが、単語を50語ぐらい理解できるようになると、発語することが多いといわれます。そして、1歳児の特長に、新しいことばをどんどん吸収していく「言語爆発」があります。ヨーロッパの言語学者による「子どもはどのくらいことばを発するか」といった研究があり、その論文によると、2歳過ぎがピークですが、子どもが起きている間は2時間にひとつ、1日に合計12個の新しいことばを覚えたといいいます。なぜそんなにたくさん覚えられるのかは、いまだ明らかにはなっていませんが、ことばの指数級数的なものは右肩上がりにスピードが増えるのが、基本だということだけは言えるでしょう。

生後11カ月から3歳までの子どものいる約20家族の部屋にたくさんのマイクを置いて、子どもが聴いていることばを研究した論文があります。その結果、子どもは1時間に400から700のことばを聴いていることがわかりました。家庭はことばの情報の宝庫で、子どもはことばのシャワーの中にいることがわかります。また、子どもは人のことばをよく聴いて覚え、誰もいないところでひとりでしゃべっていることもデータでわかりました。
1歳になると約50から60のことばを理解し、最初のことばを発するといわれています。「ママ、きて」「ピヨピヨ、ないた」などの2語文を話すようになるのは、300くらいの単語をしゃべれるようになったときが標準。その後、1日1万語とか2万語を話している子もいれば、1日100語しか話さない子もいますが、どちらも問題はありません。おしゃべりや無口は個性ですから、あまり親がやきもきしない方がよいですね。

お母さんが日常生活できたないことばを話していて、絵本を読むときだけ正しい日本語で読んでも意味はありません。ことばは、圧倒的に親から覚えることが多いですから、親が正しいことばを使えばいいのです。但し、保育園や幼稚園に通うようになり、もし、他の子どもがきたないことばを話していたりすると、それも拾ってくるようになります。

テレビを見ることで話すのが遅れると心配される方がいます。最近の調査では、テレビを長時間見ていても、親と会話をたくさんしている子どもは、ことばが豊富であることが明らかになりました。幼児のことばの発達とテレビの関係を調べた研究がありますが、結論をいえば、「子どもの言語発達を促すのは、聴取された言語数よりも、他人との交互の会話量であることが証明された」というものです。
人間としての基本的な能力ができた1歳児にとって音楽プログラムは、その能力を使って旺盛な好奇心を充たす体験になります。たとえば、器用に動くようになった指先で、小さなものをつかんだり、タマゴ型マラカスを振ったり、打ち鳴らしたりできるようになります。「おとのおもちゃばこ」の中での体験は、子どものイメージを広げ、親や他人の関係を作り上げていくベースになるでしょう。

ヤマハの音楽プログラムに親子で参加すると、いろいろな音楽を聴き、歌ったり、リズムを感じたりすることで、親子で共通の経験ができます。家事の合間にプログラムで歌った歌を口ずさむことで親と子の会話が生まれます。それと、子どもには能動的に学ぼうとする姿勢がもともとありますから、親が子どものサインを受けとめてあげてサポートすることで楽しい時間を過ごせます。お子さんと楽しむつもりで、お母さんやお父さん自身がプログラムを楽しんでください。親が楽しんでいる様子を見て子どもも楽しくなってリラックスしてくれます。きっと音楽を通して親子で充実したスキンシップがとれるでしょう。
