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子どもの心を育む 絵本の読み聞かせ
~絵本専門士 鴫原晶子さんに聞く~

「絵本専門士」として幅広く活動されている鴫原晶子先生にインタビュー。
絵本とは何なのか、読み聞かせがなぜいいのか、いい絵本を探すヒントなど、
「絵本の読み聞かせ」に関するさまざまな興味深いお話を伺う、連載第3回目です。

<鴫原晶子さん>

絵本専門士。
幼稚園教諭の経験を経て、東京教育専門学校・前副校長、現在非常勤講師。
保育園の園内研修や子育て講座の講師を務める。
代表を務める「保育と絵本の研究会GOBOの会」にて、おはなし会や勉強会なども実施。
ペーパークイリングインストラクターや、おもちゃコーディネーターの肩書きも持つ。

[第3回] よい絵本とは何か? ~絵本を探す、選ぶヒント~

せっかく読み聞かせに時間を割くのであれば、子どもによりよい絵本を読んであげたいものですよね。でも、一口に絵本と言ってもその種類はさまざまですし、そのうえ日本では毎年2000~3000冊もの新刊絵本が出版されるといわれています。
では、そんなたくさんの中から、いったいどんな絵本を選べばいいのでしょうか?
今回は、「よい絵本とは何か?」という観点から、絵本を選ぶヒントについてお伝えしていきます。

奥付は絵本の「履歴書」。良質な絵本は、世代を超えて読み継がれる

どんな絵本を読み聞かせるか迷ってしまうときは、まず、長年読み継がれてきた作品を選んでみましょう、とお伝えしています。お手持ちの絵本があったら、後ろの方にある発行者・発行所・発行年などが書かれたページを見てみてください。この部分に「初版○年 ○月発行」と出ています。これが20~30年以上前でしたら、その絵本は「本物」。なぜなら、子どもたちに受け入れられない本は、そんなに何年も版を重ねて刷られることなく、消えてしまうからです。出版社も絵本作家も売れる絵本を手掛けているはずなのに、いっとき大ブレークしても、売れ続けなければ絶版になってしまう、という現実があります。後々まで残る絵本はごくわずかなのです。

なかでも、初版から50年以上経っても売られているような、いわゆる「古典絵本」には、素晴らしい作品が多くあります。1963年初版の『ぐりとぐら』(作:なかがわりえこ/絵:おおむらゆりこ/福音館書店)、1966年初版の『ぐるんぱのようちえん』(作:西内 ミナミ/絵:堀内誠一/福音館書店)などは、自分が子どもの頃に読んでもらった、という方もいるかもしれません。そうした世代を超えて読み継がれてきた絵本には、時間が経っても古びない「底力」があります。絵・文章・構成すべてに、どの時代の子どもも魅了し続ける、素晴らしい力があるのです。


なんと海外では「ピーターラビット」のように100年以上出版され続けている絵本もあります。以前住んでいたドイツでは、『もじゃもじゃペーター』(作:ハインリッヒ・ホフマン)という170年以上も前に出版された絵本が今でも売られ続け、「どの家庭にも必ずある」とまで言われていました。時代を超えて出版され続けているというのは、良質な絵本の証拠であり、たくさんの子どもを楽しませてきた証でもあるのです。

出版年が書かれている巻末の部分を「奥付」と言います。ある先生は、この部分を「その絵本の“履歴書”だ」とおっしゃいました。この履歴書を見れば、よい絵本かどうかの判断の助けになるはずです。ぜひ、絵本を選ぶ際にはこのことを思い出してください。

子どもが夢中になる絵本とは、作り手が本気で作った本

また、子どもの目線で見れば、よい絵本とは「面白い本」「楽しい本」「わくわくする本」ということになります。その観点から考えて子どもの表情や反応を見てみると、「集中して見聞きしている絵本」「何度も『読んで』という絵本」=よい絵本、となるのがわかります。そして、それらには共通したポイントがあるのです。

読み聞かせは、内容だけでなく、耳に入ってくる言葉を楽しむものです。そのため、文章を声に出したときの響きが重要になります。選び抜かれた言葉の響きや躍動感を感じるリズムは、子どもたちの心をひきつけます。さらに、絵本の絵はそれだけでお話の流れが理解できるほど、表現豊かに描かれていることが大切です。読み聞かせの間、子どもたちは「絵を読んで」います。単にきれい・かわいいだけでなく、絵が雄弁に語っているものは、子どもたちを夢中にさせます。

例えば、私も大好きな『もりのなか』(作:マリー・ホール・エッツ/訳:まさきるりこ/福音館書店)という作品は、絵はモノクロですが子どもたちにとても人気があります。物語の展開と心地よいリズムの訳文、味のある絵が、実にうまくとけあっているからです。



そのような、子どものためを思って作られた本物の絵本は、何年もかけて文章を練り、絵を何度も描き直し、ようやく世に出ています。ある出版社では、一冊の絵本を作るのに3年もかけているそうです。本当にすごい努力ですよね。人気のキャラクター絵本や、大量生産のアニメ絵本など手軽なものも悪くはないのですが、ぜひ、このような作り手が心を込めて作った素晴らしい絵本、良質な絵本たちに触れる機会を、お子さんに作ってあげてほしいと思います。

絵本の種類を知って、心の間口を広げよう

子どもが喜ぶから、というのは絵本選びの基本ではありますが、それだけではどうしてもテーマやジャンルに偏りが出てくると思います。そこで、例を挙げながら簡単に絵本の種類を紹介したいと思います。

赤ちゃん絵本

見やすい色、はっきりした絵、少ない文字、が特徴です。「赤ちゃん」とくくってはいますが、大きな子が読むのでも全く問題ありません。

・『いないいないばあ』(作:松谷みよ子/絵:瀬川康男/童心社)
・『くだもの』(作:平山和子/福音館書店)
など

お話の絵本

自分もその物語の中の人物になったような気持ちで絵本の世界に入り込めるのが創作の物語絵本。一方、「3びきのこぶた」のような昔話絵本は、さまざまな出版社から発売され、中には元の作品と話の中身が変わってしまっているものもあります。できるだけ原作に忠実な作品を読んであげたいものです。
<創作>
・『はじめてのおつかい』(作:筒井頼子/絵:林明子/福音館書店)
・『しょうぼうじどうしゃ じぷた』(作:渡辺茂男/絵: 山本忠敬/福音館書店)
<昔話>
・『3びきのこぶた』(イギリス昔話/訳:瀬田貞二/絵:山田三郎/福音館書店)
など

科学の絵本

自然・植物・動物・社会・宇宙・人・遊び・生活など、さまざまなモノ・コトがテーマになっている絵本。絵が主体の絵本と写真絵本とがありますが、どちらも作者が「子どもに事実を伝えたい」と努力し、時間をかけ、観察をして描いています。
<写真>
『おかしなゆき ふしぎなこおり』(文・写真:片平孝/ポプラ社)
<絵>
『みんな うんち』(作:五味太郎/福音館書店)
『ぼく、だんごむし』(作:得田之久/絵:たかはしきよし/福音館書店)
など



その他に、『もこ もこ もこ』(作:谷川俊太郎/絵:元永定正/文研出版)、『もけら もけら』(作:山下洋輔/絵:元永定正/構成:中辻悦子/福音館書店)などのイメージ絵本や、『はらぺこあおむし』(作:エリック・カール/訳:もりひさし/偕成社)、『しろくまのパンツ』(作:ツペラ ツペラ(tupera tupera)/ブロンズ新社)などのしかけ絵本も、子どもの感性を豊かに育ててくれるでしょう。



読む絵本・家にある絵本がすべて同じテイストになってしまうと、子どもの世界が広がりません。心の間口を大きく広げるためにも、より幅広いジャンルの絵本の世界に触れさせてあげてほしいと思います。

最後に・・・何より大切なことは、あなたがその絵本が「好き」であること

いろいろと述べてきましたが、読み聞かせをする上で何より大切なことは、読み手がその絵本を「好き」であることです。私は、高評価のレビューや他の方のおすすめがあったとしても、自分が好きになれない絵本を子どもたちに読みません。子どもは敏感に大人の心を感じ取るもの。どんなによい絵本でも、大人が心を込めて読んでいなければ、子どもの心には届かないのです。

自分が「いいな」「好きだな」と感じる本なら、読み聞かせもより楽しくなりますし、親が楽しそうに読んでくれると、それを聞く子どもも嬉しくなります。ですから、大切なのは、いろいろな情報を集め、知識を得たうえで、子どもも自分も一緒に楽しめるような作品を選ぶことです。

「喜んでくれるかな?」と、子どものことを思い浮かべながら絵本を選ぶ時間は、とても楽しく、幸せなひとときですよね。そうやってお母さん・お父さんが選んだ本は、きっと子どもにとって一番の「よい絵本」となるはずです。

次回は、「第4回 絵本に関する悩みに答える~この子にあう絵本を選ぶには?」というテーマで、年齢・季節・好奇心など、具体的な絵本の選び方についてお伝えします。

ぷっぷるコラムメンバーズ・よこ(横山香織)

10歳・8歳・6歳のわんぱく3兄弟を育てるママライター。
親子の生活がちょっと豊かになるような、等身大の情報を発信していけたらと思っています。

JASRAC許諾
第6854640024Y38029号

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