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現役子育てママがおすすめ絵本をご紹介!

今年の干支は丑(うし)!うしが主役の絵本

こんにちは! ぷっぷるコラムメンバーズのよこです。

2021年は、丑(牛)年。
大きくておっとりとした印象の牛ですが、勤勉によく働くその姿は“誠実さ”を象徴し、縁起のいい動物としても知られています。

また、牛は十二支の中で最も歩みが遅いため、丑年は先を急がず一歩一歩、着実に物事を進めることが吉である、と言われています。この一年は、牛のように優しくおおらかに、のんびり構えて過ごすのがよさそうですね。

今回は、そんな「うし年」にぴったりな、牛が主役の絵本をご紹介します。
とぼけた表情の牛に思わず親子で笑ってしまうユーモアたっぷりの『うし』と、牧場ののどかな雰囲気の中に深い味わいを持つ『モーモーまきばのおきゃくさま』の2作品です。

ぜひ今年の干支や十二支のお話に思いを馳せつつ、親子で読んでみてくださいね。

「うし」 詩:内田麟太郎/絵:高畠純(アリス館)

<1~3歳のお子さんにおすすめ>

牛がうしろを振り返ったら、牛がいた。そのうしろの牛がうしろを振り返ると、やっぱり牛がいた。どこまでも、どこまでも、続く牛たち……どんどん増えて、さて、いったいどうなるのでしょうか?

内田麟太郎さんが書かれた詩に、高畠純さんが味のあるイラストをつけて完成したのがこちらの絵本。内田さんのリズミカルな詩と、高畠さんのとぼけた牛は、本当にお似合い! 文章とイラストの息がぴったりと合っていて、楽しく気持ちよく読み進めることができます。子どもたちも、心地よい繰り返しのリズム、ダジャレのような言葉遊びを大いに楽しんでいました。

そして、やっぱり気になるのが「うし」のインパクトの強さ! とにかくどのページを開いても「うし」。牛がうしろを振り返り続けるだけなのに、ずっと面白くてしかたがないのは、高畠さんの描くイラストがすごい力を持っているからでしょう。

しっかり調べて描き上げたというリアルな牛が、とても真面目な表情で後ろに立っている……それが続くだけで可笑しくて、思わず吹き出してしまうのです。息子もページをめくるたび「すごい!」「まだいるの~?」と笑ったりツッコんだりしながら読んでいました。

さらに後半、画面いっぱいに牛があふれるページは圧巻。数えきれないほどの牛が登場しますが、実は一頭として同じ柄の牛はいないのだとか。牧草のグリーンに映える白黒の柄を、じっくり見比べて楽しむのもいいですね。

もちろん、牛だらけのページから、突然やってくる“オチ”も最高。大人だけでなく、子どももきちんと理解できる分かりやすさで、思わず「そうきたか!」と唸ってしまいました。肩の力を抜いて、親子で楽しく笑いあえる、素敵な絵本です。

「モーモーまきばのおきゃくさま」 作・絵:マリー・ホール・エッツ/訳:やまのうち きよこ(偕成社)

<4~6歳のお子さんにおすすめ>

春の牧場で、牛がのんびり草を食べています。「なんて おいしい くさ なんでしょう」「だれかに ごちそう してあげたいわ」こうして家畜小屋からたくさんの友だちを招いてパーティが始まりました。

やってきたのは、馬・ヤギ・豚・羊の子・犬・猫・がちょう・めんどり・おんどり・ねずみ。集まったみんなで、歌ったり踊ったり、楽しく過ごします。さて、お腹がすいたということで、ごちそうするのは、モーモーまきばの草。でも、牛にとっては美味しい草ですが、中には草を食べない友だちもいたのです……。

「もりのなか」「またもりへ」などでおなじみ、マリー・ホール・エッツの描く動物たちの物語です。モノクロを基調としながらも、黄色やピンクが映えるイラストは、のどかで可愛らしい雰囲気。動物の表情やしぐさも愛らしくて、何とも素敵です。特に、動物たちが輪になって「ひらいた ひらいた~♪」と歌うところは微笑ましく、息子も喜んで一緒に歌っていました。

さて、お話にたびたび登場し、皮肉めいたセリフを言うのは、賢い鳥・カケス。「ごちそうは、くさのほか なんにもないけど、みんなには だまっていよう」「やあ、きた きた! でも みんな、すぐかえっちゃうだろうよ」……その言葉通り、集まった動物たちのうち半分くらいは、食事をせずに帰ってしまいます。

しかし、残った動物は「ぼくは、だいすきだよ」「わたしも すきよ」と、美味しそうに草を食べてくれました。パーティではちょっぴり悲しいこともありましたが、残った友だちと草の美味しさを分かち合うことができ、牛はとっても幸せだったのです。

みんな仲良しで終わるのではなく、「草を食べない動物もいる」という自然界のありのままの姿を描いているのが、この作品のポイント。動物世界のこととして描いていますが、人間だって同じ。自分がいいと思うものを、他人も同じように気にいるかはわかりません。

作者は子どもたちに、「お友だちの中には自分と好みや思いが違う子もいる、でもそれはそれ。一緒に好きなことを楽しめる仲間も必ずいるよ」ということを教えてくれているのかなぁ、なんてことを感じました。折りに触れて読み返したくなる、魅力あふれる作品です。

ぷっぷるコラムメンバーズ・よこ(横山香織)

11歳・9歳・6歳のわんぱく3兄弟を育てるママライター。
親子の生活がちょっと豊かになるような、等身大の情報を発信していけたらと思っています。

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