現役子育てママがおすすめ絵本をご紹介!
草木や野の花たちが目覚める季節 春のしぜん絵本
あたたかな風や柔らかな陽光に、春を感じる今日この頃。
ポカポカ陽気に誘われるように、草木は一斉に芽吹き、色とりどりの花を咲かせます。
今回は、そんな春の自然がたっぷり楽しめる絵本をご紹介。
人間の気付かないところで、せっせと花の種を植えて歩く姿が愛おしい「じっちょりんのあるくみち」、5匹のカヤネズミが球根から花を育て、お客様をおもてなしする「チューリップホテル」の2冊です。
草花の美しさや愛らしさ、みずみずしい生命力に、読んでいるほうも元気をもらえるはず。
ぜひお子さまと一緒に楽しんでくださいね。
「じっちょりんのあるくみち」 作:かとうあじゅ(文溪堂)
<1~3歳のお子さんにおすすめ>
主人公は、団地の隅に棲んでいる小さな小さな生き物「じっちょりん」の家族。彼らは、花びらや葉っぱを食べますが、種だけは食べずにとっておきます。実は、私たちの気付かないところで、アスファルトの隙間や電柱の根本などにせっせと種を植えているからなのです……。
なんといっても、じっちょりんの小ささが魅力であるこの作品。彼らの目線で描かれる世界は、人間や動物たちが大迫力で迫ってきますが、見つからないように逃げたり隠れたり(時には利用したり!)工夫しながら、しっかり種を植えていく姿が健気です。私たちが道端でキレイな花を楽しめるのは、じっちょりんのおかげだったのね、と思わずにいられません。
また、雑草と呼ばれるような可愛い草花たちが名前入りで載っているのも嬉しいポイント。ストーリーを楽しみながら、「かたばみ」「おおいぬのふぐり」「なずな」「はるじおん」など植物の名前も一緒に覚えることができます。息子も、見たことはあっても名前を知らない植物がたくさん出てきたようで、興味津々で眺めていました。
そして、この作品を読んだあとは、今まで気にも留めていなかった、アスファルトの割れ目や壁の隙間からニョキっと生えている草花がとっても気になるようになりました(笑)。「これはなんていう名前の花かな」「どうやって植えたんだろうね」なんて会話もはずみ、春のお散歩がよりいっそう楽しくなる絵本です。
「チューリップホテル」 作:キム・ジアン/訳:おおたけ きよみ(光村教育図書)
<4~6歳のお子さんにおすすめ>
働き者の5匹のカヤネズミは、いろいろな色のチューリップの球根を植えるために大忙し。冬を越して芽が出たら、今度は毎日まいにち大きくなるようお世話をします。茎がすうっと伸びて、つぼみがふくらむと……お客様を迎える準備は完了!「いらっしゃいませ チューリップホテルへ ようこそ!」
カヤネズミたちがフロントやドアマン、ハウスキーパーなどを務め、心からおもてなしするチューリップホテル。暖かな日差しの中、はちみつジュースやにんじんの丸焼きなどの美味しい食事をいただいたり、チューリップの花びらのベッドで眠ったりして、「春」を満喫できるのです。
特に圧巻なのは、両観音開きになっているメインページ。チェックインの様子やプールなどのアクティビティ、レストランやルームサービスなども細かく描き込まれていて、大人までワクワクします。また、登場人物たちのセリフが手書き文字で書き込まれているのも可愛く、じっくりすみずみまで眺めてしまいました。
さて、日差しが強くなり、チューリップの花びらがひらりと落ち始める頃、春をたっぷり味わったお客様たちがひとり、またひとりと帰っていきます。次の春までホテルも店じまいです。「こんな期間限定のホテルがあるならぜひ泊まってみたい!」と思わずにはいられない、夢いっぱいの素敵な作品です。
ぷっぷるコラムメンバーズ・よこ(横山香織)
14歳・12歳・10歳のわんぱく3兄弟を育てるママライター。
親子の生活がちょっと豊かになるような、等身大の情報を発信していけたらと思っています。